膝が痛い…とお悩みの方は多いと思います。それはもしかすると膝OAかもしれません。
ここでは膝OAに関しての病態や運動療法に関してご紹介します。
OAの有病率
世界における変形性膝関節症の有病率は3億人と言われ、有病率は30年前と比較し9.6%も増加しています。
WHOの推計では、60歳以上における女性の18%、男性の9.6%が症候性OAを有することが分かっています。
日本における膝OAの有病者数は2530万人、有症状患者数は800万人と推定されています。
つまり日本では3人に1人は膝OAを有していることが分かります。
膝OAの痛み
X線において関節空の狭小化は骨棘よりも各痛みの指標と強く関連していたとの報告があります。
また軟骨下の骨髄浮腫を発見しても、膝痛の有無を十分に説明することはできないと報告があります。しかし、骨髄浮腫と隣接する軟骨下皮質骨欠損を伴う全厚の関節軟骨欠損を有する女性は、痛みのないOAよりも痛みのある膝OAになる可能性が優位に高かったという報告があります。
膝の痛みを持つ人のうち、x線上のOAを持つ人の割合は15~76%、X線上の膝OAを持つ人のうち、痛みを持つ人の割合は15~81%であったとの報告もあります。
これ、とても範囲が広いですよね。一概にもレントゲンで膝OAがあるから痛いとは限らない、膝が痛いから膝OAであるとは限らないということです。
これらのことからレントゲンを撮ることは大切ということが分かります。
膝OAの方の運動療法
実際に整形外科クリニック等で膝OAと診断された方のための運動療法をお伝えします。
2019年膝OAのガイドラインでは、以下の運動療法が推奨されている。
◆core treatment
陸上での運動プログラム
タイプ①:筋力強化、有酸素運動、バランストレーニング、神経筋運動
タイプ②太極拳、ヨガを含むMild-body-exercize
運動と組み合わせた体重管理が推奨されています。
つまり、膝の筋トレと有酸素運動、ヨガなど運動をして体重が増えないようにしよう。ということです。
筋トレについて
筋トレはどこの筋トレをしたらいいの?の疑問にお答えします。
膝関節の抵抗運動は痛みと身体機能の改善に有効であったと報告しています。また、大腿四頭筋運動に股関節の運動も追加することで大きな痛みと機能の改善が見られたという報告があります。
つまり、膝と股関節を鍛えましょうということです。
どちらも膝OAを改善するためには大切な筋トレです。しっかり鍛えましょう。
運動療法はネガティブの効果もあります。その一部もご紹介します。
連続歩行30分以降では痛みが優位に増加した。歩行時間が30分以上になると膝関節接触圧が増大した。という報告もあります。
つまり、30分以上の連続歩行や運動は控えるべきだということです。何事もやりすぎはよくありません。こまめに休憩をはさむことでこれらを防ぐことができると思います。
FITTの原則
じゃあ、どんなプログラムで運動したらいいかをご紹介します。
FITTとは、F:頻度、I:強度、T:タイム、T:タイプの略です。膝OAの方に推奨される、それぞれの運動原則をご紹介します。
FITTの原則 | |
頻度 F:frekuency | 週2~3回、2か月以上継続 |
強度 I:intensity | 抵抗運動:最大抵抗の50~60%の負荷 血流制限などの条件:最大負荷の30%ほど |
時間 T:time | 最低30分以上 ※全身運動を行うときは、休憩を挟みながら実施。 |
種類 T:Type of exercise | 膝関節や股関節の抵抗運動 荷重下での運動 有酸素運動(歩行、サイクリング) |
以上が、膝OAの方に推奨されているFITT原則になります。
まとめ
膝OAの方に推奨されている運動療法をまとめると、
週2回~3回、運動時間は30分以上、少しきついくらいの負荷量で膝、股関節の筋トレや歩行やサイクリングをしましょう。ということになります。
注意してほしいのは、これはあくまでの目安であるということです。当たり前ですが、人それぞれ体力や身体機能、怪我の有無、全身状態は様々です。
個々にあったプログラムで体に無理のない範囲で運動を行うことが大切です。
無理なく、継続的に運動やケアを行うようにしましょう。
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